修善寺 新井旅館 ②


三度目の訪問になる修善寺温泉の「新井旅館」です。二回目はアメリカに移住する彼女との旅行で、思い出深い宿です。

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「新井旅館」は、明治5(1872)年創業の歴史ある温泉宿で、画人では、横山大観小林古径前田青邨速水御舟、文人では泉鏡花幸田露伴、俳人では、正岡子規高濱虚子など、錚々たる顔ぶれの文化人が滞在し、風呂嫌いと言われた芥川龍之介も気に入り長く滞在したそうです。


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時代ごとに趣向を凝らした客室を増築し、建物15棟が国の登録有形文化財に指定され、そのうち宿泊できる建物は8棟です。


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風格あるフロントロビーには室内ですが水が流れ、修善寺ゆかりの日本画家・川端龍子(りゅうし)の設計で「明月荘あらゐ」のへんがくが迎えてくれます。横には、横山大観が滞在した際に書いた「腰忘帯」の文字。腰に帯をするのを忘れるほどくつろげるという意味だそうです。この月の棟(大正8年築)も登録文化財で3階には、芥川龍之介が一ヶ月滞在したそうですが、今は社員寮になっているそうです。


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建物は、渡り廊下でつながっています。日本画のような望め、水を生かした美しい建築です。


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どこから写真を撮っても絵になります。食事を運ぶ男性スタッフの姿。


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宿泊したのは花の棟の二階の角部屋「花一号室」。


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窓の外には桂川の清流、真っ赤な桂橋、百日紅、竹林の小径が見えます。百日紅が緑の頃と花咲く頃だったらどんなにきれいなことでしょう。


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この部屋は日本画家の安田靫彦が長く滞在した間でした。


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万年青(おもと)の釘隠し、こんなところにも高い美意識を感じます。内風呂もあり、部屋はとても広く、小ざっぱりしていました。


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華の池から張り出している造りが特徴の「桐の棟」。泉鏡花の小説にも登場し、大正5(1916)年に完成、こちらも文化財で、とても雰囲気があります。


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小津安二郎監督の1952年の映画「お茶漬けの味」は、女友達4人で修善寺温泉へ旅行に行き、新井旅館に宿泊します。木暮美千代・津島恵子・淡島千景さんが出演して、宿泊した部屋は「桐の三番」です。新井旅館に宿泊したきっかけは、小津映画のファンだったからです。


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師走の献立。

箸付。黒胡麻豆乳寄せ。

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前菜。お椀。


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お造り。


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焼物。焚合わせ。
お料理は続きますが、もうお腹いっぱい・・・。懐石コースの夕食はどれも旬の素材を生かした丁寧な調理され、おいしくいただきました。


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重厚な岩風呂は、旅館自慢の「天平大浴堂」、歴史画の大家、安田靫彦画伯のデザインです。
釘を1本も使わず、木材も台湾よりわざわざ取り寄せた檜だそうです。


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湯船には、池の鯉が臨めるガラス窓があり、鯉を見ながらお湯に浸かることができます。芥川龍之介も家族に宛てた手紙に「水族館みたいだ。これだけでも一見の価値あり」と綴っています。冬は鯉の動きが鈍くなりますね、この日は見ることができませんでした。


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あやめの形をかたどったあやめ風呂。新井旅館はすべてアルカリ性単純泉です。アルカリ性の泉質は美人の湯とも言われていますが、どうりで家人の湯上がりの肌はいつになく(失礼)さっぱりと、光っていました。


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夜になると華の池には客室の照明が映り、昼間とは異なる幻想的な景色が生まれました。


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寝静まったフロントロビー


初めて訪れた時からだいぶたちましたが変わることなくつつましく、しっとりとした雰囲気で迎えてくれた宿、接客もやさしく心も満たされました。そうそう、仲居さんにお聞きしましたが、9月ごろからずっとお忙しく、年内もずっと満室だそうで、まぁ、大変。どうもお疲れさまです。


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文化財に泊まる。
偏愛 はな子 著

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by PASSAGE_4 | 2026-01-06 17:37 | おでかけ | Comments(0)


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