群馬県 法師温泉「長寿館」
群馬県と新潟県の境に立つ法師温泉は、弘法大師が発見したと言われています。 「長寿館」は、明治8年(1875)創業から150年になる由緒ある宿で、混浴大浴場 “”法師乃湯”(明治28年築)と、別館が登録有形文化財に指定されています。また、日本秘湯を守る会会員で、5つ星の宿です。

駐車場から最初に目に飛び込んでくる坂の上の景観は、ひなびた佇まいで、絵になります。黒壁の木造建築と杉皮葺きの屋根が特徴的な本館は江戸時代の旅籠を思わせ、入り口にはなつかしい赤い郵便ポストもありました。


先日放送されたNHKの美の壺「くつろぎの温泉建築」でも紹介されていましたが、大の温泉好きの与謝野晶子も「長寿館」に宿泊し、九十九首の歌を詠んでいます。



正面の渡り廊下を挟んだ右側が、奥に長く伸びる法隆殿の建物、相当くたびれた外観ですが修繕され、部屋はとてもきれいなようです。


法師川沿いに建つ別館は、昭和15年の建築で国の登録有形文化財、さすがに渋い佇まい。

山の上から小さな川が流れ、それが法師川へと流れこむ美しい景色です。この冬は雪が多かったので、例年よりも桜の開花が遅く、これから枝垂れ桜、八重桜、ウコン桜などが咲くそうですが、わたしたちは、ラッキー、たくさんの桜を愛でることができました。6月にはツヤツヤの若葉で覆われ、さらに美しい景色に包まれるでしょう。


薫山荘。
法師温泉で伝えられる話 その1。
薫山荘31番を利用したのは、昭和の名女優・夏目雅子さん。
結婚前に伊集院静さんと一緒に、結婚後も同じ薫山荘31番にお泊まりになったそうです。
薫山荘31番は1階の角部屋で10畳に四畳の踏込が付いていて、縁側からは流れの速い法師川が眺められ、室内にいても涼やかな川音が聞こえてきて、窓からは山々のまばゆい緑の光が入ってくるそうです。事前に知っていたら、この部屋にしたかったかも。

法師温泉で伝えられる話 その2。
薫山荘の二階の部屋に三連泊したのは、多くの破天荒なエピソードで知られる俳優・勝新太郎さん。「勝新太郎さんは仲間とともにお嬢さんと息子さんも連れて、ご一家で来られました。三日間、ずっとお部屋で麻雀をしていましたね。奥様の中村玉緒さんが、夜中でもフロントにタバコを一カートンごと、何度も買いに来ました。タバコをふかし、飲みながら麻雀していたんでしょうね。勝さんが深夜に「あんみつが食いたい、食いたい」と騒がれたそうですが、さすがに用意はできなかったそうです。」

こんもりとした苔が生える中庭が見えます。
わたしたちは改装して唯一ベッドがある15番の部屋に宿泊、お風呂に一番近いというのでこちらにしました。

長寿館の顔、たたきを上がると吹き抜けの玄関があります。明治の歌人たちの書額や神棚など昔ながらの施設で、正月飾りや小正月飾りなど四季折々に顔を変えるようです。


玄関のすぐ左手の囲炉裏のある風景。
薪がパチパチと小気味いい音をたてて燃えています。茶釜のお湯がしゅんしゅんと湧き、ふたがカタカタと合唱しています。自由にお茶を楽しめます。


下足番がいらっしゃるので、整えられた玄関。

フルムーンポスター!懐かしい!見覚えがある方は多いでしょう?JRが国鉄だった時代、 “フルムーン” の混浴シーンは衝撃的でした。

なんといっても、ここ「長寿館」の売りは、国登録有形文化財の “法師乃湯” です。
“法師乃湯”は寄棟造りで屋根は杉皮葺き、アーチ型の窓が特徴の鹿鳴館風の木造建築で湯船が4つあり、それぞれの浴槽には丸太が渡され、そこに頭を乗せながら浴槽の下から湧き上がる生まれたての源泉が楽しめる足元湧出温泉です。浴槽の真ん中に通してある丸太の木枕に頭を乗せてぷかぷかします。

草まくら手枕に似じ借らざらん
山のいでゆの丸太のまくら
晶子
歌誌「冬柏」

建築されてから1世紀以上経っているこの浴場は、記憶にある“フルムーン” のCMのままです。写真では暗くて見えませんが、お湯は透き通り、純度100%の源泉が、下に敷き詰めた玉石の間からポコポコ自然に湧きだしています。基本、混浴なので、( ̄Д ̄;男性がいらっしゃる時間に入る勇気はありませんが、午後8時から10時までは女性のみ入浴できます。お湯はかなりぬるめ、3.11から温度が下がったようです。

“玉城乃湯” は総檜造りで、露天風呂付き、“法師乃湯” に比べて明るく開放感がありました。こちらは女性専用時間が長いのです。

地元の酒屋で購入した日本酒。鶴齢(かくれい) 純米吟醸 新潟県 青木酒造。


夕食は地産地消を意識した数々の料理。厳選された地元の食材が丁寧に調理されているお味でしたが、昼食を食べ過ぎて写真を撮る気力もないほど、ほとんど食べられず、毎度のことで申し訳ないです。上州牛すき焼きコースのお肉だけは無理にでも食べて・・・旨味の強いおいしいお肉でした。

群馬の名産、イワナの昆布締め、ギンヒカリ、トロ湯葉、刺身こんにゃく。写真はありませんが、ふきのとうの赤だしが沁みたなぁ。

生ハムサラダ、温泉卵、アサリの佃煮、サワラの照り焼き、味付け海苔、湯豆腐、ご飯とお味噌汁、漬物、オレンジ。ちょうどいい朝食、っていつもの倍以上だけど、昨夜ほとんど食べていないので、おいしくいただきました。

食事処。朝食前にもう一風呂浴びていらっしゃるのか、どなたも姿が見えない。笑

山に囲まれたポツンと温泉、自然と歴史が調和する宿で過ごす時間は、非日常の贅沢そのものです。天井が高く立派な梁の木造りの浴場に、ほんのりと湯けむりあがる趣のある温泉は、後世に残してほしい日本の温泉文化ですね。家人のリクエストの「長寿館」でしたが、もう群馬は満喫したので、次は違う土地に足を運びたいです。

by PASSAGE_4
| 2025-05-02 17:18
| おでかけ
|
Comments(2)
こんにちは
長寿館の古き良き佇まい、ロマンあるな〜と読みながら…
あ、ここ聞いたことある!と思い出しました。
美瑛にビブレというオーベルジュがあるんですが、そこは「美瑛料理塾」でもあり、スタッフさんは全て全国から来られた料理人さんや菓子職人さんなんです。
そこで料理人さんたちの中心にいらしたのが
料理王国」や「料理通信」などプロのための料理雑誌を作ってきた方で、好きなホテルや旅館の話の中で長寿館が出てきました。
「フルムーンのあのCM、見たことあるでしょう?法師乃湯がいいんですよー」と…
場所的にご縁がないなーと思いながらも、頭に残ってました。
私も、お昼しっかり食べて、お宿の夕食が入らないー!ってこと何度もありました。
それで数年前から、お食事を楽しむお宿や夕食予約してる日は、お昼をかるーくするように…
最近は、もう朝ごはんから調節(笑)
1日に食べられる量、減っていきますね。
長寿館の古き良き佇まい、ロマンあるな〜と読みながら…
あ、ここ聞いたことある!と思い出しました。
美瑛にビブレというオーベルジュがあるんですが、そこは「美瑛料理塾」でもあり、スタッフさんは全て全国から来られた料理人さんや菓子職人さんなんです。
そこで料理人さんたちの中心にいらしたのが
料理王国」や「料理通信」などプロのための料理雑誌を作ってきた方で、好きなホテルや旅館の話の中で長寿館が出てきました。
「フルムーンのあのCM、見たことあるでしょう?法師乃湯がいいんですよー」と…
場所的にご縁がないなーと思いながらも、頭に残ってました。
私も、お昼しっかり食べて、お宿の夕食が入らないー!ってこと何度もありました。
それで数年前から、お食事を楽しむお宿や夕食予約してる日は、お昼をかるーくするように…
最近は、もう朝ごはんから調節(笑)
1日に食べられる量、減っていきますね。
1
corotomoさま
こんにちは。コメントありがとうございます。
美瑛料理塾ですと!!!ホームページを拝見しました。
ゲスト講師の顔ぶれにもしびれますねー。
若かったら、参加したかったなぁ。
さて、長寿館の話を耳にされたことがありましたか。
清志郎さんも何度も宿泊したとか、たくさんの方があの
ひなびた山奥の宿に足を運ばれているようです。
20代から、一度泊まりたいと思っていたのですが、混浴と
いうことで、二の足を踏んでいました。
今は女性限定のレディースデーがとても人気だそうです。
お昼問題が、いつもつきまといます。
出かけるからと、お昼も、せっかくならこだわったところで
食べたいとなります。量は減らしたつもりでしたが、天ぷらが
ひびきました。笑
食い意地がはっていても、だんだん食べられる量が減ってきて
残念で、自分にがっかりです。笑
こんにちは。コメントありがとうございます。
美瑛料理塾ですと!!!ホームページを拝見しました。
ゲスト講師の顔ぶれにもしびれますねー。
若かったら、参加したかったなぁ。
さて、長寿館の話を耳にされたことがありましたか。
清志郎さんも何度も宿泊したとか、たくさんの方があの
ひなびた山奥の宿に足を運ばれているようです。
20代から、一度泊まりたいと思っていたのですが、混浴と
いうことで、二の足を踏んでいました。
今は女性限定のレディースデーがとても人気だそうです。
お昼問題が、いつもつきまといます。
出かけるからと、お昼も、せっかくならこだわったところで
食べたいとなります。量は減らしたつもりでしたが、天ぷらが
ひびきました。笑
食い意地がはっていても、だんだん食べられる量が減ってきて
残念で、自分にがっかりです。笑

日々 記憶のノート
by PASSAGE_4
カテゴリ
全体woman exicite
好きな物
甘いもの
犬
カフェ
写真の話
料理
学ぶ
ひとりごと
おでかけ
本
弁当
季節の話
花
アート
物の話
店
食べ物の話
未分類
以前の記事
2026年 03月2026年 02月
2026年 01月
more...
最新のトラックバック
ライフログ
最新の記事
| 富士吉田「FabCafe F.. |
| at 2026-03-12 01:51 |
| 富士吉田 ディープエリア .. |
| at 2026-03-11 04:06 |
| 富士は日本一の山 |
| at 2026-03-10 03:12 |
| 春の緑のパスタ |
| at 2026-03-09 09:39 |
| アインのタイムマシンに乗って |
| at 2026-03-09 03:24 |
| ふきのとう味噌のおむすび |
| at 2026-03-08 07:02 |
| カキフライに見えるけど・・・.. |
| at 2026-03-07 07:00 |
| 神楽坂「梅香」のえびそば |
| at 2026-03-06 03:51 |
| 「亀十」で、秘かに人気の“う.. |
| at 2026-03-05 05:50 |
| ゆで卵のミートローフ |
| at 2026-03-04 05:02 |
| 3月3日はアインの日。 |
| at 2026-03-03 06:52 |
| 蔵前「シノノメ製パン所」 |
| at 2026-03-02 08:03 |
| 春のサラダ2種 ヤリイカと押.. |
| at 2026-03-01 08:18 |
| 朝、目覚めると戦争が始まって.. |
| at 2026-03-01 07:13 |
| 暗いうちの青えんどうのポター.. |
| at 2026-02-28 04:30 |
| 恋する香港麺 「新記」 |
| at 2026-02-27 10:25 |
| 野菜は柔らかく煮るほどおいしい |
| at 2026-02-26 05:31 |
| 満開のミモザ |
| at 2026-02-25 05:44 |
| 2月 せせ先生の春のイタリア.. |
| at 2026-02-24 09:22 |
| ふきのとうのペペロンチーニ焼.. |
| at 2026-02-23 16:02 |
