文豪が愛した老舗ホテル 「山の上ホテル」が休館へ


御茶ノ水駅から徒歩5分、賑やかな明大通りから一歩入ったところに建つ「山の上ホテル」は、神田駿河台の高台に位置し、その立地からあまり人目につかないため、落ち着いた風情があります。

文豪が愛した老舗ホテル 「山の上ホテル」が休館へ_e0277800_17012900.jpg


周りは高層ビルが立ち並び、部屋からの眺望は望めませんが、アールデコ様式の建物は多くの利用客から人気を集めていました。

文豪が愛した老舗ホテル 「山の上ホテル」が休館へ_e0277800_14101811.jpg


作家、文化人からも愛されてきた「山の上ホテル」が、2024年2月13日(金)から当面の間、休館すると発表がありました。
休館の理由は建物の老朽化への対応を検討するためということですが、再開については未定だそうで、このまま閉館になってしまうではないかと危惧しています。

文豪が愛した老舗ホテル 「山の上ホテル」が休館へ_e0277800_15284752.jpg


文豪が愛した老舗ホテル 「山の上ホテル」が休館へ_e0277800_14100026.jpg


設計は、アメリカの建築家、ウィリアム・メレル・ヴォーリズ氏で、アール・デコ様式を取り入れられています。
開業は1954年(昭和29年)、英語表記は「HILLTOP HOTEL」GHQに接収されていた時代にこう呼ばれていたそうです。

窓にも「HILLTOP HOTEL」の“HH” を見つけました。

文豪が愛した老舗ホテル 「山の上ホテル」が休館へ_e0277800_14095710.jpg


館内もアール・デコ様式の特徴である直線や幾何学模様、シンメトリーのデザインが取り入れられていましたが、長い年月をかけてアール・デコ調が、少しずつ薄れていったそうです。2019年(令和元年)12月の再構築された改修工事を経て、開業当時のアールデコの意匠が復元されました。

文豪が愛した老舗ホテル 「山の上ホテル」が休館へ_e0277800_14103862.jpg


美しい大理石の床と天井。

文豪が愛した老舗ホテル 「山の上ホテル」が休館へ_e0277800_14102145.jpg


フロントには赤の薔薇が一輪、クラシカルなホテルのしっとりとした雰囲気に似合います。

文豪が愛した老舗ホテル 「山の上ホテル」が休館へ_e0277800_14094653.jpg


入り口正面の象徴的な階段。

文豪が愛した老舗ホテル 「山の上ホテル」が休館へ_e0277800_14104231.jpg


バー ノンノン

文豪が愛した老舗ホテル 「山の上ホテル」が休館へ_e0277800_14092459.jpg


ロビーには池波正太郎氏が描いた絵が飾られています。

また、三島由紀夫氏が書いたレターセットに書いたメッセージもホテルに残されています。

「東京の真中にかういう静かな宿があるとは思わなかった。
設備も清潔を極め、サービスもまだ少し素人っぽい処が実にいい。
ねがはくは、ここが有名になりすぎたり、はやりすぎたりしませんやうに」

文豪が愛した老舗ホテル 「山の上ホテル」が休館へ_e0277800_14093624.jpg


ロビーにはライティングデスクが置かれていて、辞書もあり、書きものや調べものが出来ます。
左手奥は有名な日本料理レストラン「てんぷらと和食 山の上」の入り口、「池波正太郎の銀座日記」に、何度も登場するほど、池波正太郎氏お気に入りの店です。

文豪が愛した老舗ホテル 「山の上ホテル」が休館へ_e0277800_14095132.jpg


デスクの左脇の本棚には先ごろお亡くなりになられた伊集院静氏の著書が並んでいました。こんなところにも「山の上ホテル」のやさしさが見えます。

文豪が愛した老舗ホテル 「山の上ホテル」が休館へ_e0277800_14103283.jpg


文豪が愛した老舗ホテル 「山の上ホテル」が休館へ_e0277800_14102915.jpg


池波正太郎氏の絵。ここにも赤い一輪の赤い薔薇。

文豪が愛した老舗ホテル 「山の上ホテル」が休館へ_e0277800_14093989.jpg


数々の池波正太郎氏の絵はホテル側への贈り物だそうです。

文豪が愛した老舗ホテル 「山の上ホテル」が休館へ_e0277800_03444408.jpg


チェックインカウンター。

文豪が愛した老舗ホテル 「山の上ホテル」が休館へ_e0277800_14093055.jpg


川端康成、池波正太郎、三島由紀夫、伊集院静、山口瞳など多くの作家に愛された常宿ですが、締切前の “かんづめ” に多く利用されたという話が有名ですね。メールやファックスがない時代には、多くの編集者がこのロビーで原稿の完成を待っていたこともあるそうです。

文豪が愛した老舗ホテル 「山の上ホテル」が休館へ_e0277800_14093347.jpg


定位置のリサラーソンのライオンにもまた会いたい。

文豪が愛した老舗ホテル 「山の上ホテル」が休館へ_e0277800_14102641.jpg


スタッフの挨拶や対応がさりげなくて心地よい。長い歴史をもつホテルならではの豊かで誇り高い物語を知れば知るほと、また訪問できる日が来ることを待っています。

文豪が愛した老舗ホテル 「山の上ホテル」が休館へ_e0277800_14095429.jpg




山の上ホテル物語
常盤 新平 著




by PASSAGE_4 | 2023-12-07 18:18 | 好きな物 | Comments(0)


日々 記憶のノート


by PASSAGE_4

S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

カテゴリ

全体
woman exicite
好きな物
甘いもの

カフェ
写真の話
料理
学ぶ
ひとりごと
おでかけ

弁当
季節の話

アート
物の話

食べ物の話
未分類

以前の記事

2026年 03月
2026年 02月
2026年 01月
more...

最新のトラックバック

ライフログ

最新の記事

富士吉田「FabCafe F..
at 2026-03-12 01:51
富士吉田 ディープエリア ..
at 2026-03-11 04:06
富士は日本一の山
at 2026-03-10 03:12
春の緑のパスタ
at 2026-03-09 09:39
アインのタイムマシンに乗って
at 2026-03-09 03:24
ふきのとう味噌のおむすび
at 2026-03-08 07:02
カキフライに見えるけど・・・..
at 2026-03-07 07:00
神楽坂「梅香」のえびそば
at 2026-03-06 03:51
「亀十」で、秘かに人気の“う..
at 2026-03-05 05:50
ゆで卵のミートローフ
at 2026-03-04 05:02
3月3日はアインの日。
at 2026-03-03 06:52
蔵前「シノノメ製パン所」
at 2026-03-02 08:03
春のサラダ2種 ヤリイカと押..
at 2026-03-01 08:18
朝、目覚めると戦争が始まって..
at 2026-03-01 07:13
暗いうちの青えんどうのポター..
at 2026-02-28 04:30
恋する香港麺 「新記」
at 2026-02-27 10:25
野菜は柔らかく煮るほどおいしい
at 2026-02-26 05:31
満開のミモザ
at 2026-02-25 05:44
2月 せせ先生の春のイタリア..
at 2026-02-24 09:22
ふきのとうのペペロンチーニ焼..
at 2026-02-23 16:02

タグ

検索